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Feb 06, 2008

釣りの人

釣り場では一人ではなく複数の人と釣っているので、自然と会話になる。また、他の人同士の話を聞くことも多い。意外とこれが楽しい。

平日の昼間に糸を垂らすことができるのは、定年後の人か失業者、自由業くらいなものである。なかでもやはり定年後の人が一番多い。家にいても面白くもないテレビ番組しかやっていないし、呆けにも良くないので、釣りに来るという。お金もほとんどかからないというメリットもある。

ある日のこと、いつものようにみんなが立ち話をしている。

「俺なんか昨日は200だったよ。」

「俺は150だ。」

えええ!そんなに昨日は釣れたんだと思って、さらに聞いているとどうもおかしい。

「それがさあ、翌日には下がってさあ。」

???? 下がるってどうゆうことよ。

血圧の話だった。年配の人であるから会話は自然と健康の話になる。病院から直接来て釣りをしていく人もいる。そこまでして釣り糸を垂れたいのである。

先日は、かなりの年配の人が「釣らせてくれ」とやって来た。竿は自作だったが、仕掛けがごつくてどうも釣れそうもない。そこでベテランの人が研いだ針をあげたり、おもりを調節したり、手取り足取り教えてあげた。その甲斐あって、ついにタナゴを1匹釣り上げた。

お爺さんは「涙が出るほど嬉しい」と喜んだ。

聞くところによると、竿を作るのに竹の乾燥に二年を要するという。ということは、タナゴを釣るのに2年以上かかっているわけである。それは涙が出るほど嬉しいわけである。

大喜びしたお爺さんは、指導したベテランの人はもちろん、そばにいた私まで自作の竿をくれたのである。それも2本である。

数日後、また同じポイントに行くと、そのお爺さんは友人を連れてまた来ていた。先日の味が忘れられなかったのだろう。

お昼近く、一番釣りやすい場所にお爺さんが移動した。しかし、しばらくするとお爺さんは釣りをやめてしまった。お昼なので昼食をとりにあがったのである。カップラーメンをすすっていた。しばらくして、お爺さんは自分の位置に戻ってくるなり、こう言った。

「血圧が上がってきた感じがしたんで、やばかったんだよね。」

おいおい、こんなところで死んでもらってもかなわない。すると友人がこんな事を。

「そんな時は背中を押してやるよ。ドボーンだ。」

お爺さん曰く、「そりゃいいや。」

いや、ぜんぜん良くない。冗談でもやめてほしい。もうこちらは苦笑するしかない。

この釣り場は、階段状になっていて、少し無理な体勢で糸を垂れるので、しばらくそのままでいると体が痛くなる。若い私でもそうなのだから、昭和一桁のお爺さん達には、想像を超えたつらさがあるようだ。だから、しばらく釣りをしていたお爺さんは、動けなくなり、四つんばいで階段をよたよた上がっていた。そのよたよたぶりは端で見ていて、いつ川に落ちるか気が気でない。それでもお爺さんは釣りを続けるのである。

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