21,22日と1泊で、幼稚園教諭を対象にした夏期研修会に講師として招かれ、福島県白河市に出かけた。
講演の内容は、実践している親子体験(親子塾)のコンテンツを先生にも体験してもらおうというものだ。コンテンツはいろいろあるが、いちばん洗練されているダンゴムシをとりあげる。
しかしである。講演当日の22日は、46年ぶりとなる皆既日食の日。こんな大事なときに、ダンゴムシどころではない。ぜったいに日食もとりあげなければいけない。
そこで、太陽を40㎝にした場合の地球と月の模型を作り、いかに日食は希なことかを実感してもらう。また、みんなで日食が観測できるピンフォール観測機を作るために、大量の段ボールをスーパーからもらってくる。
ちなみに太陽が直径40センチだとしたら、地球の直径は約4ミリ。月はなんと1ミリしかない。と口でも言っても実感が湧かないから、指にのせた地球と月の写真をどうぞ。月はまるでゴミ。紙粘土のかすで作るが、小さく丸く作るのに難儀する。娘の方がうまくできたので、今回はそちらを採用する。

ところが問題は天気。太陽を拝めないと日食は見られないので、パワーポイントは晴れ用と雨用の2種類を用意して出かけた。
現地入りしたのは、21日の午後15時頃。天気は雨で翌日の日食は、ほぼ絶望的な感じである。さっそくチェックインして通された部屋は、あまりの広さに驚く。しかし、分相応という言葉があるが、悲しいかな落ち着かない。
研修はすでに始まっていて、コミュニケーションについての講習。私も飛び入りで参加するが、先生方の名前と顔が一致しなくて困った。
その後、夜は各園対抗の出し物を見ながら懇親会に参加。楽しい一時を過ごした。
さて、本番当日は、日食のあまりのワクワク感で午前3時半には目が覚めてしまい、まったく寝られなくなってしまった。まるで子供である。
4時過ぎに空が白み始めると、なんと青空が見えるではないか。予報では、くもりか雨で絶望的なことを言っていたのに。
これはいけると思って、インターネットで雲の衛星写真を見たら、すぐに低気圧の雲が迫っていることが判明。やっぱり無理かと落胆する。案の定、講演開始時刻前は、かなりの強い雨が降ってくる。
講演は、つかみとしてコラーゲンの話をしたが、これが意外と受けずに滑ってあせる。しかし、ダンゴムシの観察にはいると、あちこちでキャーキャー悲鳴があがるも盛り上がり、最後のレースでは21秒台というコースレコード第2位の記録が出る。
さて、問題はここからだ。
ちょっと休憩ということでのんびりしていると、外が晴れていると、同行していた娘が飛び込んできた。
えええええ!!!! ほんとかよ。と会場から出てみると確かに雲が切れて、太陽が顔をのぞかせているではないか。その時の時間がおそらく10時過ぎ。さっそく日食グラスでのぞいてみると、もう欠けはじめているではないか。
これは急げと、ここからバタバタになり、大急ぎでみんなを外に誘導する。
まずは、全員にちょっとでも見てもらわなければならない。少ない日食グラスを回して、観測してもらう。雲の切れ目から時々見えるだけなので、いつ最後になるかわからないから、あせるのである。
しかし、幸か不幸か、雲がかかるために強い太陽光線が遮られて、肉眼でも欠けているのがわかる。
とにかく日食が見られたことで一同感動。完全に絶望視していたので、その喜びはひとしおというものである。
さらに太陽は見え隠れするが、なんとか持ちそうなので、急いでみんなに段ボールでピンホール観測機を作ってもらうことに。せっかく集めた段ボールがただのゴミにならずにすんだ。
この観測機もうまくいって、みんな喜んでくれたのが何よりであった。
とにかく世紀の天体ショーが大勢の人たちと一緒に観測できたのがとても良かったし、感動が共有できたのは、なかなかの高揚感でありました。
さいごに興奮して走り回っている私の姿がいちばん面白かったというコメントをいただきましたが、あの状況で走り回らない人がいるのがおかしいんです。と私は言いたい。
いやー、喧噪の中で私の講演会は終了したが、生の自然体験を出来たのがなによりであります。

10時43分の太陽

この観測機はなかなか使いこなしが難しい。
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